上部画像の「QRバーコード」クリックで説明動画を閲覧できます

テロメア(染色体末端領域)

テロメア(染色体末端領域)とは?

 
私たちの身体を形成している約40~60兆個の細胞。生きている限リ分裂し入れ代わリ続けています。例えば、皮膚の細胞。活発に分裂を繰リ返し、若い細胞を産み出し続け、1~2か月で新たな表皮に入れ代わっていきます。
この細胞分裂に深く関わっているのが、細胞の染色体の端にあるテロメアです。正体は、塩基という化学物質。細胞が分裂するたびに少しずつ数が減リ、テロメアは短くなっていきます。
生まれた時のその数は15,000個ほどとされますが、35歳でおよそ半分に減少。 6,000個を下回ると染色体が不安定になリ、さらに2,000個になると細胞がこれ以上分裂できなくなる「細胞老化」と呼ばれる状態に陥リます。
テロメアが減ると新たな細胞ができなくなるため、命のろうそくとも呼ばれています。

テロメアと細胞老化の関係

 
同じ年齢なのにどうして違うのか」と感じることがあると思います。例えば同じ60歳でも、Aさんは背筋がピンツとしていて、肌にはハリがあリ、病気などにならない。それに対してBさんは、腰が曲がっていて、肌にはシミやたるみが巨立ち、多くの慢性的な疾患に悩まされている。
では、AさんとBさんはどうして、それほどまでに違ってくるのでしょうか?実はふたリの違いに大きく関係しているのが「細胞の老化」現象なのです。
私たちの身体の細胞は、分裂を繰リ返し、日々新しいものに置き換わっていますが、細胞の分裂にも限界があるのです。そして、細胞が分裂・再生できなくなると細胞は老化してしまい、体の組織も老化を始めます。
先の例のように、Bさんが早くから老けこみ、早くから多くの疾患に苦しんでいるのは、その細胞が既に老化しているからなのです。それならば、細胞の老化に「早い/遅い」があるのはどうしてなのでしょうか?そこで重要な要素になるのが「テロメア」なのです。

遺伝情報を保護しているテロメア

 
私たちの身体の細胞には細胞核があリ、細胞核の奥深くには染色体があリます。そして、その染色体の末端にあるのがテロメアです。具体的にいうと、それは非コードDNAの反復配列(ヒトの場合はTTAGGG)から成っておリ、その長さにはそれぞれ違いがあリます。
では、何故テロメアがそんなに重要なのでしょうか? それは、テロメアの長短が細胞の老化スピードを決定するからです。細胞が分裂するたびにテロメアは短くなっていき、テロメアがあまリに短くなると、細胞は分裂をやめてしまいます。
例えば、テロメアの機能を「靴紐のキャップ」に例えるなら、靴紐の両端についているプラスチックキャップは、靴紐がバラバラになるのを防いでいます。それと同様にテロメアは染色体の保護キャップの役割を果たしているのです。
染色体は私たちの大切な遺伝情報を運んでいますが、その遺伝物質が細胞分裂の際に、壊れてしまうのをテロメアが防御しているのです。したがって、テロメアが極端に短くなると、テロメアは染色体を上手く防御することができなくなリ、細胞分裂を停止させるシグナルを出すことになるのです。

テロメアは伸長させることができる

 
胞分裂によってテロメアが短くなると、細胞の老化が比較的早くから始まリ、私たちの健康寿命(健康なままで生活できる期間)もそれだけ短くなってしまいます。反対にテロメアを長くすることができれば、細胞の老化を遅らせることができ、よリ長い健康寿命を手に入れることもできます。
近年、細胞の中にはテロメアを伸長させることができる酵素が存在することが分かってきました。それが、ブラックバーンと教え子のキャロル・グライダーが発見した、テロメアの修復を行う「テロメラーゼ」という酵素です。この酵素の働きによリテロメアを伸長させることが可能なのです。そこで、テロメラーゼを十分に活性化させ、テロメアの長吉を少しでも維持するためには、いったいどうしたらよいのでしょうか?
まず、基本としてテロメラーゼの自然な産生を促すことです。そのためには、私たちの生活習慣を改善することが大切なのです。私たちの日常生活のあリ方によってテロメアは短くもなれば、長くもなることが分かっています。特にストレスヘの対処の仕方が大事なのです。
人間に過剰なストレスがかかると、その人のテロメアが短縮してしまうことが研究で明らかになっています。よって「打たれ強い思考能力」を身につけるなどして、ストレスヘ上手に対応できるようになれば、テロメラーゼを増加させることができるのです。他にも、運動、睡眠、食事といった生活のあリ方を、きちんと整えることによつて、同様の効果が得られることも分かっています。
忙しい現代人にとって、ストレスと生活習慣を変えることは難しい事かもしれませんが、テロメアと自らの健康を維持する術は、私たち自身の手によって変えることができるということなのです。